第84章

葵はカプセル群に視線を留めなかった。立ち止まれば感情に呑み込まれてしまいそうで、ただ一番奥にある二列の設備だけをじっと見つめた。

そこには二台の低温遠心分離機と、冷たい白を放つ培養カプセルが一列に並んでいる。一から十三までの番号が振られ、順に微かな青いランプが点灯していた。

十三号カプセルは稼働中で、インジケーターはすでにオレンジ色に変わっているが、七号カプセルは真っ暗だった。

春が声を潜める。

「七号は起動してないな」

葵は二秒ほど見つめて言った。

「起動してないんじゃない。オフラインに偽装してるだけ」

和也が武市克好に視線を向ける。

「転送を止めるにはどうする」

武市克...

ログインして続きを読む